111 商標とは

商標とは、生産者や販売者が自分の提供する商品やサービスを他人のそれと区別するために付ける文字、図形、記号など(以下「標章」という)です。産業財産としての商標は、法律では次のように定義されています。
 「この法律で『商標』とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下『標章』という。)であつて、次に掲げるものをいう。
 一  業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
 二  業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの」(商標法第二条)と定義されています。

 この定義から、文字や図形の結合である標章を、生産者や提供者がその商品や役務(サービス)に使用するとき、それが商標である、ということになります。それらの標章は、社名であっても、社章であっても、ブランド名であっても、ロゴマークであっても、何でもいいのです。
更にこの定義から、商標は必ず視覚に訴えるものに限られています。他人の商品やサービスと区別するのに、音(コマーシャルソングなど)やにおい、味も実際の流通では利用されてはいますが、現在の商標制度としては、法上の商標ではありません。
 
 次に、商標制度の目的ですが、次のように定義されています。
 「この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」(商標法第一条)とされています。
その商標を継続的に使用することによって、業務上の信用を獲得していくことができ、信用がその商標に化体していくといえます。こうして獲得された信用を維持することが商標を保護する趣旨です。こうして商標を保護することにより、一定の商標を使用した商品や役務は、必ず一定の出所から提供されることになります。こうして取引秩序を維持することにより、消費者の利益を保護すると同時に、産業の発達に貢献しようとしているのです。