213_3 記述的標章のみの商標記述的標章のみの商標

条文では、「その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」(商標法第三条第一項第三号)となっています。
【説明】商品や役務を記述するのに用いられる標章を、登録を受けることができない商標として列挙しています。これらは、商品又は役務を通常の流通過程や取引過程に置く場合に必要な表示であり、誰もが使用する必要があります。かつ、誰もが使用をしたいと思うものだから、一私人に独占を認めるのは妥当ではありません。これらの多くは、既に一般的に使用されあるいは将来必ず一般的に使用されるもので、自他商品等の識別力を認めることができないからです。

 これらは二つ以上の標章からなる商標でも、記述的「標章のみからなる商標」に該当します。また、図形又は立体形状をもってこれら記述的標章を表示する場合も、記述的標章のみからなる商標に該当します。

 記述的な標章は、列挙のとおり商品や役務の広範な性質を表すさまざまな分野にあります。以下に具体的な例を見ていきます。
(@)指定商品の産地、販売地、指定役務の提供場所
国家名、著名な地理的名称(行政区画名、旧国名、外国の地理的名称を含む)、繁華な商店街(外国の著名な繁華街を含む)、地図等(図形)は、原則として、記述的標章とされます。
(A)間接的な記述
指定商品の品質・効能・用途など、指定役務の質・効能・用途などを間接的に記述する標章は、本号に該当しないとされます。
(B)長音符号を増やした標章
標章「コクナール」、「スグレータ」、「うまーい」、「はやーい」などのように長音符号を除いて考察した場合に、指定商品の指定品質や役務の質などを表示すると認められるときは、記述的標章とされます。
(C)商品等の形状そのもの
指定商品の形状(包装の形状も含む)、指定役務の提供に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識されるにすぎない商標は、本号に該当するとされます。
(D)書籍・雑誌などの題号
商品16類「書籍」に標章「(書籍の題号)」を使用する場合、この標章は通常は、品質を表示するものとされます。言い換えれば、書籍の題号を商標登録できるか、という問題ですが、その題名がただちに特定の内容を表示すると認められるときは、登録を受けることはできません。
他方、同じ商品16類「新聞、雑誌等の定期刊行物」に標章「(それらの題号)」を使用する場合、原則として自他商品の識別力があるものとされます。
(E)映画・放送番組などの題名
商品1類「フィルム」に映像が記録されたものに、標章「(映像の題名)」を使用する場合、その題名がただちに特定の内容を表示すると認められるときは、商品の品質を表示するものとします。商品9類「録音済みの磁気テープ」、「録音済みのコンパクトディスク」、「レコード」等についても同様です。
役務41類「放送番組の制作」、役務38類「テレビジョン放送」等に標章「(番組名)」を使用する場合、その番組名がただちに特定の内容を表示すると認められるときは、役務の質を表示するものとします。
役務41類「映写フィルムの貸与」、「録音済みの磁気テープの貸与」、「録音済みのコンパクトディスクの貸与」、「レコードの貸与」等に標章「(それらの題名)」を使う場合、それらの題名がただちに特定の内容を表示すると認められるときは、役務の質を表示するものとします。
(F)飲食物提供と外国の国家名など
役務43類「飲食物の提供」に標章「(外国の国家名、地理的名称等)」を使う場合、それらが特定の料理(フランス料理、イタリア料理、北京料理等)を表示すると認められるときは、その役務の質を表示するものとします。

【例外】本号に該当し、事業の当初は自他商品等の識別力がない商標に該当する場合でも、使用を継続することによって、その商標に信用が化体し、識別力を得るに至る場合があります。この場合には、法上登録を受けることができるとされます。
 条文では、「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。」(商標法第三条第二項)となっています。
ここでいう「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」とは、特定の者の出所表示として、その商品・役務の需要者の間で全国的に認識されているものをいいます。
ただし、出願された商標と指定商品・役務は、使用された商標と指定商品・役務と同一でなければ、この例外の適用を受け、登録を受けることはできません。そして全国的に認識されていることの事実(注*参照)を、証拠を示して証明する必要があります。
注*:証明する必要がある事実の例には、実際に使用した商標と商品・役務、使用した期間・地域、生産数量や営業規模、広告宣伝の回数・内容、需要者の認識度を調査したアンケート結果などがあります。