215_7 他人の商品等と混同を生ずるおそれがある商標

 条文では、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から十四号までに掲げるものを除く。)」(商標法第四条第一項第十五号)となっています。
【説明】他人が使用して既に広く周知された商標になっている場合、これから登録を受けようとする商標で混同を生じるおそれがあるものは、登録を受けることができません。特許庁の審査基準は、次のとおりです。

1.本号において「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある場合」とは、その他人の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合のみならず、その他人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同するおそれがある場合をもいう。例えば、以下のような場合が挙げられる。
(1)事業者甲が自己の業務に係る商品Gに商標Mを使用し、これが全国的に周知になっている場合において、事業者乙が自己の業務に係る商品X(商品Gとは非類似でかつ、商品の生産者、販売者、取扱い系統、材料、用途等の関連性を有しないものであるとしても)に商標Mを使用したときに、その商品Xに接する需要者が、たとえ、甲の業務に係る商品であると認識しなくても、商品Xが甲の子会社等の関係にある事業者甲′の業務に係る商品であると誤認し(実際には存在しない甲′が出所として想定され)、商品の出所について混同する場合。
(注)上記 (1)については役務についても同様に考えるものとし、甲及び乙の業務が役務に係る場合においては、「商品」の文字については「役務」と読み替え、また「商品の生産者、販売者、取扱い系統、材料、用途等の関連性を有しないもの」とあるのは「役務の提供者、提供手段、目的、提供に関連する物品等との関連性を有しないもの」と読み替えるものとする。
(2)事業者甲が自己の業務に係る役務に商標Sを使用し、これが全国的に
周知になっている場合において、事業者乙が自己の業務に係る商品(甲の業務に係る役務とは非類似)に商標Sを使用したときに、その商品に接
する需要者が、その商品が甲の兼業に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずる場合。
(注)上記 (2)については、甲の業務が商品に係るものであり、また乙の業務が役務に係るものである場合にも同様に考えるものとする。
を除く。


2.「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」であるか否かの判断にあたっては、
(イ) その他人の標章の周知度(広告、宣伝等の程度又は普及度)
(ロ) その他人の標章が創造標章であるかどうか
(ハ) その他人の標章がハウスマークであるかどうか
(ニ) 企業における多角経営の可能性
(ホ) 商品間、役務間又は商品と役務間の関連性
等を総合的に考慮するものとする。
なお、(イ)の判断に当たっては、周知度が必ずしも全国的であることを要しないものとする。
3.2.(イ)に関する立証方法については、この基準第2(第3条第2項)の3.(1)及び(2)を準用する。
4.他人の著名な商標を一部に有する商標については、次のとおり取り扱うこととする。
(1)それが他人の著名な登録商標と類似であって、当該商標登録に係る指定商品若しくは指定役務と同一又は類似の商品若しくは役務に使用すると認められる場合は、第4条第1項第11号の規定に該当するものとする。
(2)それが他人の著名な商標と類似しないと認められる場合又は他人の著名な商標と類似していても商品若しくは役務が互いに類似しないと認められる場合において、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるときは、原則として、本号の規定に該当するものとする。
(3)それが他人の著名な商標と類似していても、商品又は役務が互いに類似せず、かつ、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれもないと認められる場合において、不正の目的をもって使用をするものであるときは、第4条第1項第19号の規定に該当するものとする。
5.他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、原則として、商品又は役務の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して、取り扱うものとする。
ただし、その他人の著名な商標の部分が既成の語の一部となっているもの、又は、指定商品若しくは指定役務との関係において出所の混同のおそれのないことが明白なものを除く。
(例)@混同を生ずるおそれのある商標の例
被服について「arenoma / アレノマ」と「renoma」「レノマ」(カバン、バッグ等)
おもちゃについて「パー・ソニー」、「パー ソニー」又は「パーソニー」と「ソニー」(電気機械器具)
A混同を生ずるおそれのない商標の例
カメラについて「POLAROID」と「POLA」(化粧品)


6.著名標章を引用して、商標登録出願を本号に該当するものとして拒絶することができる商標には、外国において著名な標章であることが商標登録出願の時に(第4条第3項参照)、我が国内の需要者によって認識されており(必ずしも最終消費者まで認識されていなくともよい。)、出願人がその出願に係る商標を使用した場合、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものを含むものとする。
7.他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあるかどうかの認定にあたっては、取引の実情等個々の実態を充分考慮するものとする。
8.建築物の形状を表示する立体商標であって、当該建築物の形状が当該出願前から他人の建築物に係るものとして我が国において広く認識されているものであるときは、本号の規定を適用するものとする。
9.著名性の認定に当たっては、この基準第3の八(第4条第1項第10号)の7.を準用する。