113 Rマーク・TMマーク・SMマーク
「Rマーク」(マル囲みの文字R)や文字「TM」、「SM」を見かけることがあります。
まず、「Rマーク」ですが、英語の「registered trademark」の略字記号として、米国の商標法第29条で定義されています。それを付した文字、図形、記号など(以下「標章」という)が商標として米国特許商標庁に登録されていることを告知する場合に使うマークです。米国の商標法においては商標権者以外の者が知らないで、その商標を使って商標権を侵害しても、その「Rマーク」による告知をしていなければ、損害賠償を請求できないとされています。
日本でも、「指定商品若しくは指定商品の包装若しくは指定役務の提供の用に供する物に登録商標を付するとき、・・その商標にその商標が登録商標である旨の表示(「登録商標」の文字と登録番号)を付するように努めなければならない。」(商標法第七十三条)とされています。米国の商標法と同様の考え方が示されています。但し、日本の場合には条文のとおり(「務める」)訓示規定であり、従わなくても制裁があるわけではなく、不利益があるわけでもありません。これは、大きな標章に、小さい漢字文字「登録商標」と登録番号数字を付することは可能ですが、普通手にする大きさの商品に表示されている小さな標章の場合には困難です。標章の外観を損ねないように、目立たないように漢字文字「登録商標」と登録数字を付することは、現実的には困難であると考えられます。
と同時に、「何人も、次に掲げる行為をしてはならない。一 登録商標以外の商標の使用をする場合において、その商標に商標登録表示又はこれと紛らわしい表示を付する行為」(商標法第七十四条第一号)と虚偽表示が禁止され、罰則も設けられています。特許庁の登録を受けてもいないのに、その標章があたかも、登録を受けて、商標権を有しているかのような紛らわしい表示は禁止されているのです。
日本の特許庁だけで登録を受けた商標であるにもかかわらず、マル囲みの文字Rを使ったとします。その商品が米国に転売され、米国民がそれを見る場合には、あたかも米国の特許商標庁で登録を受けていると受け取られますので、注意が必要です。米国の商標法でも紛らわしい表示は禁止されています。
次に文字「TM」とは、英語のtrademark(商標、人の特徴)の略字です。これは、外来語であるトレード・マークとしてそのまま日本語になっています。米国の商標法では、文字「TM」の定義や、それを付する権利や義務を特に定めていません。従って普通の用語、英語のtrademarkとして理解すればいいのです。法的な権利や義務を伴う制度的な意味は特にありません。それを何かの標章のそばに記載した人は、その標章が商標であると主張していると理解して差し支えないと考えられます。
次に文字「SM」とは、英語のservice mark(サービスに使う商標)の略字です。文字「TM」と同様に米国の商標法では、文字「SM」の定義や、それを付する権利や義務を特に定めていません。従って普通の用語、英語のservice markとして理解すればいいのです。法的な権利や義務を伴う制度的な意味は特にありません。それを何かの標章のそばに記載した人は、その標章が商標であると主張していると理解して差し支えないと考えられます。