312 早期審査

 商標登録出願をしてから、ファーストアクションの通知(商標登録の査定の通知、又は最初の拒絶理由の通知)を受けるまでに通常ですと約6.2月(特許庁統計2009年実績)を要しています。
 近年の商品のライフサイクルの短縮化や事業のグローバル化等により、登録を受ける前に出願人が商標を使用するケースも多く、それを第三者が模倣して無断使用して、出所の混同を生じる場合があります。このような場合、出願人が不利益を被るだけでなく、一般消費者の利益も損なわれるという社会的影響も生じます。このような背景から、一定の緊急的状況が認められる場合には、通常の審査に比べ早期に審査を行う制度です。
この制度を利用した場合には、審査結果の最初の通知を受けるまでの期間は、約1.4月(特許庁統計2009年実績、出願110,841件中早期審査制度の利用1,216件)と早期に審査が行われています。

 この早期審査の制度を利用するためには、下記(1)と(2)のような、一定の緊急的状況が認められる必要があり、そのために「早期審査に関する事情説明書」という申請書類を特許庁長官あてに提出する必要があります。専門的なことにつきましては、ご相談をいただきたいと思います。

(1)出願人又はライセンシーが、出願商標を指定商品・指定役務に既に使用している又は使用の準備を相当程度進めていて、かつ、権利化について緊急性を要する出願であること
(2)出願人又はライセンシーが、出願商標を既に使用している商品・役務又は使用の準備を相当程度進めている商品・役務のみを指定している出願であること
(特許庁の商標早期審査・早期審理ガイドラインより)