436 登録異議申し立てによる消滅

 無効理由 と同様に、本来であれば、出願しても登録を受けることができない商標が、特許庁の審査の過誤で登録を受けることがあります。登録商標の掲載公報の発行の日から2月の期間に限り、第三者が登録異議の申立をすることで、商標権を消滅させることができる場合があります(商標法第四十三条の二)。
 商標登録の信頼を高めるという公益的な目的から、登録異議の申立があった場合に特許庁自ら登録処分の適否を審理し、瑕疵があれば是正を図ろうというものです。従って、無効審判のように、特許庁による登録処分に対する当事者間の争いを解決するものではありません。また、異議申立期間を、公報発行から2月の期間に限るのは、商標権者の側は早く安心して使用できる状態が欲しいこと、利害関係を持つ側は2月経過後も無効審判を請求できるからです。(特許庁編「工業所有権法逐条解説第18版」抜粋)。

 具体的には、登録異議申立は、登録異議申立書を特許庁長官に提出することで、申立できます(商標法四十三条の四)。登録異議申立による審理は、無効審判取消審判に準じて、審判官の合議で行われます。
 審判官が取消決定をしようとするときは、事前に商標権者に取消理由が通知され、意見書を提出する機会が与えられます。また、商標権を取消す決定が確定したとき、商標権者は不服があれば、無効審判取消審判と同様に東京高等裁判所に訴えることができます(商標法第六十三条)。