212 使用する商標であること

登録を受ける商標は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」(商標法第三条第一項柱書)でなければなりません。
 しかし、これは出願人が現在使用している商標のみが登録を受けることができるということではありません。出願人が現在は使用していなくても、これから使用とする商標でも登録を受けることができます。商標制度の目的が、過去の商標の使用を通じて化体した業務上の信用を保護するだけでなく、これから使用して化体する業務上の信用も保護するものだからです。使用されない商標が独占的権利として保護される弊害も併せ生じる制度ですが、この弊害は、不使用取消制度 で除去しようという制度になっています。

 ただし、使用をしないことが明らかであるときは、出願人は商標登録を受けることはできません。
 出願人が使用しないことが明らかであるケースとは、次のようなものが考えられます。一つは、出願人の業務の範囲が法令上制限されているために指定商品又は役務に係る業務を行わないことが明らかである場合です。もう一つは、指定商品又は役務に係る業務を行うことができる者が法令上制限されているために、出願人が指定商品又は役務に係る業務を行なわないことが明らかである場合です。