221 団体商標

 個人や法人が事業を行うに際して、自己の商品や役務を他と識別するために使うのが、これまで説明してきた通常の商標です。これに対して、事業を行う個人や法人で構成する団体としても、それが法人格を有すれば、商標の登録を受けることができます。構成員がこの団体商標を使用することで、他の商品や役務と識別することができます。こうして、団体は構成員である個人や法人の事業を支援することができます。これを団体商標といいます。(商標法第7条)

 例えば、同業の個人や法人が、一般社団法人(注1参照)として○○工業会という団体を構成して、商品や役務の安全基準を定め安全性を広告するような場合に使用されます。
 例えば、同じ地域の個人や法人が、○○商工会議所や○○商工会(注2参照)を構成して、その地区内における商工業の総合的な改善発達を図り、社会一般の福祉の増進に資するような事業活動に使用されます。
 例えば、個人や法人が、いわゆるNPO法人(注3参照)を構成して、ボランティア活動をはじめとする市民が行う自由な社会貢献活動としての特定非営利活動の健全な発展を促進するように使用されます。
 例えば、中小規模の商業、工業、鉱業、運送業、サービス業その他の事業を行う者、勤労者その他の者が、中小企業等協同組合(注4参照)を構成して、相互扶助の精神に基き協同して事業を行い、その経済的地位の向上を図るように使用されます。
 例えば、農業者(農民又は農業を営む法人)が農業協同組合(注5参照)を構成して、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図るように使用されます。

注1:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律により設立される。
注2:商工会議所法又は商工会法により設立される。
注3:特定非営利活動促進法により設立される。
注4:中小企業等協同組合法により設立される。
注5:農業協同組合法により設立される。

 なお、財団法人(注1参照)は、財産の集団であって、商品や役務の提供等をする事業者を構成員として有していないので、団体商標を受けることはできません。また、会社法により設立された会社も、その構成員にあたる株主又は社員が株式又は持分に相当する出資義務を負うだけの者であること、その者に自己(会社)の商標を使用させるとは考え難いことから、団体商標を受けることはできません。