435 無効による消滅
本来であれば、出願しても登録を受けることができない商標が、特許庁の審査の過誤で登録を受けることがあります。これらは、登録を受けることができなかったはずの理由、識別力がない、公益的な不登録理由、他人の権利との関係による不登録理由等と同じ理由で、無効とされる場合があります。その登録商標に利害関係を有する第三者は、特許庁に対して、その商標権を無効とすることについて、審判を請求できます(商標法第四十六条)。
過誤による商標登録を存続させておくことは、本来であれば認められない商標権に独占排他的な権利行使を認める結果となり、妥当でないからです(特許庁編「工業所有権法逐条解説第18版」抜粋)。
取消審判(1,2,3)との相違は、原則的に審判の請求の登録の日または取消審判の審決が確定した後に、その商標権が消滅するのに対して、無効審判の審決が確定した場合には、原則的にその商標権は初めから存在しなかったものとみなされる、ことです。
取消審判とのもう一つの相違は、無効審判の場合には、原則的に登録を受けてから5年の除斥期間が認められます。登録から5年経れば、例えばその商標に信用が化体し、既存の法律状態を尊重・維持するために審判請求を認めないものです(特許庁編「工業所有権法逐条解説第18版」抜粋)。取消審判が、商標権者の現在の使用の仕方を問題としているのに対して、無効審判は過去の登録の経緯を問題にしている、ことの相違でもあります。
審判の手続き、答弁書提出等は、不使用取消審判と同じです。