223 防護商標

 商標登録の必要性 で説明しました、他人Aの商標(右図の白抜き部)が、後から著名になるとどういうことになるのかですが、混同を生じる恐れがある範囲(右図の格子部)が後から広がることになります。
そして、他人Aが商標権者であれば、この範囲を防護標章として登録を受けることができるのです。(商標法第64条)

通常の登録商標であれば、第三者がその商標を指定された商品又は役務に使用すれば他人Aの商標権を侵害することになります。(表の専有範囲)さらに、その商標と同一でなくても類似する商標を、指定された商品又は役務と同一でなくても類似する商品又は役務に使用すれば他人Aの商標権を侵害することになります。(表の禁止範囲)(専有範囲と禁止範囲を合わせて右図の白抜き部となる)

これが、通常の登録商標が保護を受けることができる範囲です。(右表の*印)後から著名になって混同を生じるようになった範囲(右上図の格子部)には、通常の登録商標では保護が及びません。
この範囲にも登録商標の保護を受けるために、出願して登録を受けるのが防護標章です。具体的には、登録商標の指定商品又は役務と類似しない、商品や役務を指定して、通常の登録商標の商標権侵害となる範囲(右表の*印)以外に商標権の効力を広げるものです。第三者がその防護標章(商標権者の登録商標に同じ)を指定された商品又は役務に使用すれば他人Aの商標権を侵害することになります。(右表の**印)