434 混同による取消
類似する商品等について使用する登録商標が別々の商標権者に属することになった場合、商標権を譲る側と受ける側の双方に注意義務があることを、譲渡で注意しなければならないと、説明しました。
これは右図で、商標権者Aの専有範囲が商標権者Bの禁止範囲にあり、逆に、商標権者Bの専有範囲が商標権者Aの禁止範囲にあるような状態をいいます。
このような状態で、例えば商標権者Aが、不正競争の目的で商標権者Bの商品等と混同を生じるものをする場合、第三者が取消審判を請求して、その商標権が取消される場合があります(商標法第五十二条の二)。不正競争の目的とは、例えば商標権者Bの商品の名声が高く、商標権者Aの商品も需要者に混同されて、販売が好調である等の利益を得ていて、混同を放置するケースが該当します。このようなケースでは、商標権者Aの商標権が取消され得ることになります。
商標権者同士のみの利害関係であれば、双方が譲渡で注意する範囲で済みますが、需要者に混同を生じる場合には、公益的見地から第三者が取消審判を請求できるわけです。
審判の手続き、答弁書提出等は、不使用取消審判と同じです。